融解離脱

頼むから愛してクレメンス

彷徨う性別の埋葬

気持ちが女でも男だとしても、損なわれた、もぎ取られた失われた剥奪された気分になる時がある。

確実な性別がこの世にあるのかわからない。あなたはおジャ魔女どれみを見て女子トイレへ入って女子はプール授業がなくて女子大学では女性とは穏やかでしたたかで、

そういう言葉ひとつひとつに当てはまらないように、髪をバッサリ切ったのが19歳の頃だった。金色に染めて絶対お前らとは関わらないと違って勝手に戦いながらひとりになった。

本命の大学に落ちて女子大に通うことに決めて、あまりにも押し付けられる「女」が気持ち悪すぎて見た目から変えた。

それまで平和に可愛くピンクが好きだった。リズリサを着てピンクの棺桶でお花に囲まれて死ぬと言っていた。長い髪とツインテール、リボンとサンリオが大好きだった。セーラー服はピンクのカーディガン、ピンクのリュックに踊るマイメロディ。

今でも好きだけど、乖離してる。わたしと俺が確実に存在して、それは「性同一性障害」「二重人格」と名前をつけられても良いけれど、世の中の全ての現象がわたしにぴったり当てはまるとは限らないと思う。ただそれがわたしだっただけ。なにもかも、どれもどっちもそれもわたし。俺にもわたしにもなれる。なれて良いと思うんだ。何にでもなれるんだと思うんだ。どっちに決めなくても良いと思うんだ。

ダサすぎる自意識が今日も暴走してる。誰にも理解されなくても誰にも読んでもらえなくてもわたしは生きている。曇り空の下でゴミみたいな人間に指図されて仕事してる。どっちかにしないでどっちにもしてよ。悩める彷徨う性別を中間にできませんか、それは先人が戦い抜いて守りきった日本では、かわいい女は一歩下がって戸籍がないようなものですか。わたしはあたしは俺は僕は透明ですか、生かされも殺されもしない。迷路の中で迷うどうでもいい魂が埋葬を待ちわびている。